バドミントンの水井泰子が準々決勝へ進出したので、取材に行くことにした。しかし試合は2時からの部ではなく、夜8時からの部。急きょ、すぐ近くにある野球の日本VS豪州へ行く。夜は柔道で女子の世界チャンピオン(前田桂子)が出るので、バドミントンはカットだ。まあ、次は第1シードの選手が相手だから、ベスト8どまりだろう(結果はその通りで、世界ランク1位の中国選手に0−2)。

 野球では、黒木知宏(千葉ロッテ)が好投して日本が勝つ。プロの黒木と言えども、オリンピックの独特の雰囲気にはプレッシャーを感じたそうで、初登板となるこの日の前夜は眠れなかったとか。すでに3試合目の出場の捕手の鈴木郁洋(中日)も「顔が引きつっていましたよ。冗談を言っても乗ってこないし」と証言する。本当にすごい舞台だと思う。

 その後、柔道会場へ向かう。それにしても暑くて日差しが強い。買おう、と思っていながら、つい忘れていたサングラスを買う。10月に近づくにつれ、いっそう暑くなってくる。この日から、荷物になるのでジャンパーを持参しないことにした。

 柔道会場へ着いて記者席で記録を見ると、何と前田が初戦敗退だという。しかも、負けた相手の米国選手が準決勝へ進めなかったため、敗者復活戦にも回れない惨敗。見ていた記者の話によると、動きが硬く自分の柔道が全くできていなかったとか。事実、「頭の中が真っ白になりました」と話していたという。

 前年の世界選手権をオール一本勝ちして優勝した選手ですら、こうである。再三強調してきたが、ここでもまたオリンピックの重圧が、他のいかなるものよりもすごいことを痛感させられた。

 前田の誤算に反して、男子では7階級中、一番期待できないと言われた滝本誠が決勝まで進出。決勝(写真左)も韓国選手を相手に終始攻め、優勢勝ち。大穴の金メダリストが誕生した。昨年の世界選手権には出場できず、ことし5月のアジア選手権は3位で、やっと五輪出場資格を取った選手。「プレッシャーがなかったから、勝てた」と言うのは本人に失礼。準決勝、決勝と勝ち進んでも、重圧に負けることなく自分の実力を出し切れたから優勝できたのだと思う。

 口には出さなかったが、一番期待されていないことの反発もあっただろう。アトランタ五輪では、空港でテレビ局のスタッフに突き飛ばされたほど注目されていなかった最軽量級の野村忠宏が優勝した。マスコミの下馬評なんて、当てにならないもの(^^;)。レスリング軍団、がんばれ!(続く)

inserted by FC2 system