疲労回復のため午前の部はカット。12時に起きて午後のファイナルへ行く。イランが1階級で決勝、2階級で3位決定戦へ出るので観客席にはイラン人が多い。中には、はっとするほどの金髪美人も。イラン国内ではベールに隠されてよく分からないが、ここでは素顔(そうでない人もいるが…)。それが普通。早くイランも女性解放の日が来てほしいと思う。

 試合会場はイラン人以外にもけっこういて満員。ただカメラマンの数は、カレリンの出たグレコローマン最終日の3分の1だ。試合カードを見てみると、米国が1階級も決勝へ進んでおらず、金メダル「0」が決定。どうしたフリー王国。スタッフの責任追及は間違いないだろう。アテネ五輪での巻き返しなるか? 

 69kg級はナイジェリアからカナダへ帰化した黒人のダニエル・イガリが優勝。今現在は強くないアフリカだが、陸上やボクシングを見れば分かるとおり、運動神経に恵まれた黒人は多い。レスリングを本格的にやれる環境にあれば、オリンピック・チャンピオンはけっこう生まれてくるような気がした。

 その後、専用バスでメーン会場へ。男子マラソンのゴールに間に合えばいいな、と思ったが、ぎりぎりくらいにメーンプレスセンターへ到着。もう間に合わないと思い、食事を取る。その後、閉会式を待つメーン競技場へ。マラソンの最後の走者が、3時間を経過した今もまだゴールしていないようだ。やがて1人、また1人と“3時間ランナー”が到着。その度に11万人の観客から大歓声が湧く。トップでゴールする選手に歓声が湧くのは当然だが、中間にゴールした人以上の歓声であることは間違いない。他競技の最下位レベルの選手には絶対にないマラソン・ランナーの特権だ。

 閉会式で、再び世界の人達が集まり一緒になってフィーバーするシーンを見せてもらい、オリンピックの取材を終えた。大会全体の取材で訪れるオリンピックは、おそらくこれが最初で最後だろう。疲れはしたが、感動が多く、オリンピックの素晴らしさを再認識した17日間だったことをお伝えし、このコラムを終りたい。

 レスリングについて感じたことは、後日、「レスリング・ワールド24時」にてお伝えしたいと思いますのでよろしく。20日間のご愛読、ありがとうございました。(完)

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