【特集】名勝負数え歌! ライバル対決に勝つのはどちらか(1)
男子フリースタイル55kg級 稲葉泰弘(警視庁) − 湯元進一(自衛隊)


【2010年12月4日】



 2012年ロンドン五輪の日本代表争いがスタートする。五輪へ出場できるのは、各階級1人のみ。お互いに上を目指して切磋琢磨してきた選手同士も、いよいよ雌雄決する時を迎える。現在の日本レスリング界には、勝ったり負けたりを繰り返すライバル関係の選手同士は少なくない。

 2012年夏に五輪代表権を手にするのはどちらか。天皇杯全日本選手権を前に、最後の最後まで代表争いがもつれそうなライバル関係に、スポットを当ててみた。



 今年の世界選手権(ロシア)とアジア大会(中国)で、ともに銅メダルを獲得した男子フリースタイル55kg級の稲葉泰弘(警視庁=
左写真)。だが、ロンドン五輪へ向けて、その座は決して安泰とは言えない。湯元進一(自衛隊=右写真)も、デーブ・シュルツ国際大会(米国)、アジア選手権(インド)、ゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)と国際大会を3大会連続で制して、世界で通じる実力を見せているからだ。

 2002年国体(少年)に始まる両者の対戦は17試合に及び、1歳年上の湯元が10勝7敗とリード。しかし、同じ選手が3連勝したのは2004年から2005年にかけて湯元が1度あるだけで、勝ったり負けたりを繰り返してきた。

 世界のメダルを先に手をしたのが稲葉だが、湯元が今年のアジア選手権で2009年世界王者のヤン・キョンイル(北朝鮮)に快勝したのに対し、アジア大会で稲葉は完敗。今年の3度の対戦でも、湯元が2勝1敗と勝ち越している。18度目の対戦を制するのは、どちらか。1ポイントをめぐる大接戦が予想される。(男子フリースタイル55kg級は12月21日)




今年5月の全日本選抜選手権で1点をめぐって激しい攻防を続けた稲葉(赤)と湯元。本戦=上写真=は湯元が勝ち、プレーオフは稲葉が勝った(撮影=矢吹建夫)

 =両者の対戦成績=

 《2010年》
【7月:ゴ ー ル デ ン G P 決 勝 大 会】 湯元進一(自衛隊)○[2−0(TF6-0,1-0)]●稲葉泰弘(警視庁)
【6月:世界選手権代表決定プレーオフ】 稲葉泰弘(警視庁)○[2−1(0-2,1-0,3B-3))]●湯元進一(自衛隊)
【6月:全 日 本 選 抜 選 手 権】     湯元進一(自衛隊)○[2−1(3-2,0-2,3-1)]●稲葉泰弘(警視庁)
 
《2009年》
【2月:ダンコロフ国際大会】 稲葉泰弘(警視庁)○[2−1(2-0,1-2,3-1)]●湯元進一(自衛隊)
【2月:ヤシャドク国際大会】 湯元進一(自衛隊)○[2−1(2-0,TF6-0,1-0)]●稲葉泰弘(警視庁)
 
《2008年》
【12月:全日本選手権】   湯元進一(自衛隊)○[2−1(0-2,7-0=0:47,1-0=2:03)]●稲葉泰弘(警視庁)
【10月:国民体育大会】   稲葉泰弘(警視庁=東京)○[2−1(1-0,3-1)]●湯元進一(自衛隊=埼玉)
【6月:全日本選抜選手権】 湯元進一(自衛隊)○[2−1(3-0=2:05,0-2,3-2)]●稲葉泰弘(警視庁)
 
《2007年》
【10月:国民体育大会】 稲葉泰弘(専大=茨城)○[2−0(2-1,2-1)]●湯元進一(自衛隊=埼玉)
 
《2006年》
【12月:全日本大学選手権】 湯元進一(拓大)○[2−0(4-1,2-0)]●稲葉泰弘(専大)
【8月:全日本学生選手権】 稲葉泰弘(専大)○[2−0]●湯元進一(拓大)
 
《2005年》
【9月:全日本学生王座決定戦】 稲葉泰弘(専大)○[2−1]●湯元進一(拓大)
【5月:東日本学生リーグ戦】  湯元進一(拓大)○[2−0(3-1,3-0)]●稲葉泰弘(専大)
 
《2004年》
【11月:全日本大学選手権】   湯元進一(拓大)○[3−1]●稲葉泰弘(専大)
【6月:東日本学生春季新人戦】 湯元進一(拓大)○[5−1]●稲葉泰弘(専大)
【5月:東日本学生リーグ戦】  稲葉泰弘(専大)○[6−1]●湯元進一(拓大)
 
《2002年》
【10月:国民体育大会】 湯元進一(和歌山・和歌山工)○[7−5]●稲葉泰弘(茨城・霞ヶ浦)

稲葉泰弘(警視庁)
 1985年10月21日、茨城県生まれ、25歳。茨城・霞ヶ浦高〜専大卒。高校時代に全国高校選抜大会とインターハイで優勝。専大1年生の2004年全日本選手権で3位入賞。2005年世界ジュニア選手権で銀メダル獲得。全日本選手権は2位。
 2006年は全日本学生選手権で優勝。2007年は学生二冠を制覇するなど成長し、2008年に世界学生王者に輝いた。2009年の全日本選手権で初優勝し、2010年は世界選手権とアジア大会でともに銅メダル。162cm。
湯元進一(自衛隊)
 1984年12月4日、和歌山県生まれ、26歳。和歌山ジュニア教室出身。和歌山・和歌山工高〜拓大卒。高校2年生で国体優勝。拓大2年の2004年に全日本大学グレコローマン選手権で優勝したが、本来はフリーの選手。
 2007年はダン・コロフ国際大会で勝ち、海外初優勝と力をつけた。2008年北京五輪出場には手が届かなかったが、同年の全日本選手権で初優勝し、2009年に世界選手権初出場。2010年はアジア選手権優勝。162cm。
2008年全日本選手権 2010年全日本選抜選手権 2010年プレーオフ

 

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