【特集】名勝負数え歌! ライバル対決に勝つのはどちらか(2)
男子フリースタイル66kg級 米満達弘(自衛隊) − 小島豪臣(K-POWERS)


【2010年12月7日】



 昨年の世界選手権で男子の日本選手で唯一の銅メダルを獲得。今年のアジア大会では、昨年の世界王者を破って男子フリースタイルに16年ぶりの金メダルをもたらした66kg級の米満達弘(自衛隊=左写真)。2012年ロンドン五輪での金メダルを射程距離におさめているが、国内に、過去の対戦成績で1勝4敗(不戦勝を除く)と負け越している相手がいる。2006年アジア大会銀メダリストの小島豪臣(K-POWERS=右写真)だ。

 2006年度の全日本選手権では、アテネ五輪5位の池松和彦を破って「新星誕生か」と思われながら、決勝で小島に苦杯を喫して全日本王者を逃した。小島がいなければ、米満はもっと早くに飛躍できたのではないか。ロンドン五輪へ向けてのスタートとなった2008年全日本選抜選手権でも小島に敗れ、この段階で4戦全敗。まさに“天敵”だ。

 しかし、今年5月の全日本選抜選手権では5戦目にして米満が初勝利を挙げた。この白星で苦手意識を払しょくできたか。昨年は不調だった小島だが、今年は全日本社会人選手権74kg級優勝、国体優勝、サンキスト・オープン(米国)優勝と昇り調子で、実力を取り戻してきた。過去の対戦成績というのは、闘う選手にかなりの心理的影響を与えるもの。昇り調子の米満の足元をすくうことができるか。(男子フリースタイル66kg級は12月21日)




世界3位とアジア王者にはい上がった米満(右)だが、国内に難敵が残っている。小島(左)とは過去1勝4敗。(2010年全日本選抜選手権、撮影=矢吹建夫)
 =両者の対戦成績=

 《2005年》
【8月:全日本学生選手権】小島豪臣(日体大)○[2−0]●米満達弘(拓大)
 《2006年》
【6月:全日本選抜選手権】小島豪臣(周南システム産業)○[2−0(1-0=2:08,3-0=2:00)]●米満達弘(拓大)
 《2007年》
【1月:2006年度全日本選手権】小島豪臣(周南システム産業)○[2−1(0-3,3-2,3-0)]●米満達弘(拓大)
 《2008年》
【6月:全日本選抜選手権】小島豪臣(周南システム産業)○[2−0(2-0,1-0)]●米満達弘(拓大)
【12月:全日本選手権】米満達弘(拓大)○[不戦勝]●小島豪臣(K-POWERS)

 《2010年》
【5月:全日本選抜選手権】米満達弘(自衛隊)○[2−0(1-0,3-0)]●小島豪臣(K−POWERS)

米満達弘(よねみつ・たつひろ)=自衛隊
 1986年8月5日、山梨県生まれ、24歳。山梨・韮崎工高〜拓大卒。高校時代は2004年の全国高校グレコローマン選手権と国体グレコで優勝するが、フリースタイルではインターハイ2位が最高。拓大に進み、2年生の時(2006年)に世界ジュニア選手権に出場。同年度の全日本選手権でアテネ五輪5位の池松和彦を破るなどして2位に躍進。
 2007年はヤシャ・ドク国際大会(トルコ)で2位に入賞するなど力をつけ、全日本学生選手権で優勝。2008年世界学生選手権で優勝したあと、学生二冠(全日本学生選手権、全日本大学選手権)を制覇。全日本選手権で初優勝した。
 2009年アジア選手権で2位のあと、世界選手権で銅メダルを獲得。けがの治療で約半年、マットを離れたが、2010年に世界選手権へ出場。アジア大会で金メダル168cm。
小島豪臣(こじま・たかふみ)=K-POWERS
 1983年8月29日、青森県生まれ、27歳。青森・八戸工大一高〜日体大卒。高校時代の2001年に58kg級で全国高校選抜大会2位、インターハイ優勝など。日体大に進んでからも2002年JOC杯ジュニアオリンピック2位など実力を伸ばし、2年生の時(2003年)に60kg級で学生二冠王(全日本学生選手権、全日本大学選手権)を獲得。
 2004年はアジア選手権へ出場し、世界学生選手権で6位に入賞したあと、全日本学生選手権で連覇を果たし、全日本選手権で優勝。2006年に66kg級にアップし、アジア選手権で5位へ。世界選手権出場を経て(2回戦敗退)、アジア大会で銀メダルを獲得した。
 負傷を乗り越えて2007年全日本選手権で2位へ。しかし北京五輪出場は逃した。2009年は不調だったが、今年は国体やサンキスト・オープン(米国)で優勝と実力を取り戻した。168cm。

 

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