【特集】名勝負数え歌! ライバル対決に勝つのはどちらか(3)
男子フリースタイル84kg級 松本篤史(ALSOK) − 松本真也(警視庁)


【2010年12月9日】



 五輪に予選が導入された1992年バルセロナ五輪以来、男子フリースタイル84kg級(旧82kg級・85kg級)は五輪出場を続けてきた階級だ。しかし2008年北京五輪は出場を逃した。伝統を復活すべく争っているのが、松本篤史(ALSOK=左写真)と松本真也(警視庁=右写真)の2人の松本。3学年違いの両者は、学生時代や北京五輪代表争いに関連した闘いでの対戦はなく、2008年6月の全日本選抜選手権が初顔合わせ。前年の世界ジュニア選手権で5位に入賞した新進気鋭の松本篤が、2年前に世界10位になっている松本真を追い詰め、わずかの差で屈した。

 だが勢いは止まらなかった。半年後の全日本選手権では松本篤が勝利。見事な新旧交代を実現した。2009年は松本真のリベンジを受けて世界選手権代表は逃したが、2010年の全日本選抜選手権では松本真に連勝し、世界選手権とアジア大会の代表権を手にした。チームの出場停止処分によって半年間のブランクがありながらの快挙だった。

 松本真も負けてはいない。世界選手権の代表は逃したものの、5月のアジア選手権では銅メダルを獲得。逆襲へ向けての狼煙(のろし)をあげた。高校時代に史上初の8冠(全国高校選抜大会2度、インターハイ3度、国体3度)を制した“怪物”の意地が爆発するか。松本篤は世界選手権とアジア大会で結果を残せなかっただけに、その心理的な後遺症はどうか。再起するためにも、まず国内大会で勝たねばならない。(男子フリースタイル84kg級は12月23日)




今年の全日本選抜選手権のプレーオフで、世界選手権代表の座をめぐって激しく争った松本篤史(青)と松本真也。北京五輪代表の座をかけて、さらにヒートアップしそう。(撮影=矢吹建夫)
 =両者の対戦成績=

 《2010年》
【5月:世界選手権代表決定プレーオフ】 松本篤史(ALSOK)○[2−0(1-0,3-0)]●松本真也(警視庁)
【5月:全日本選抜選手権】       松本篤史(ALSOK)○[2−1(0-5,2-0,1-0]●松本真也(警視庁)

 《2009年》
【6月:全日本選抜選手権】 松本真也(警視庁)○[2−0(1-0,2-0)]●松本篤史(日体大)
 《2008年》
【12月:全日本選手権】   松本篤史(日体大)○[2−1(1-0,0-3,3-0=2:03)]●松本真也(警視庁)
【6月:全日本選抜選手権】 松本真也(警視庁)○[2−0(4-3,2L-2)]●松本篤史(日体大)

松本篤史(まつもと・あつし)=ALSOK
 1988年3月24日、群馬県生まれ、22歳。千代田ジュニア教室出身。群馬・館林高〜日体大卒。高校時代の2005年にJOC杯ジュニアオリンピック・カデットで優勝し、アジア・カデット選手権で優勝。日体大に進み、2006年のJOC杯ジュニア選手権フリースタイル84kg級で優勝し、世界ジュニア選手権は5位入賞。08年は学生二冠(全日本学生選手権、全日本大学選手権)を制覇し、国体は3位。全日本選手権で2位に躍進。
 2009年2月のデーブ・シュルツ国際大会(米国)では4位に入賞。2009年はアジア選手権出場の機会を得たが初戦敗退。世界選手権代表も逃した。しかし全日本学生選手権で優勝。2010年は世界選手権とアジア大会に出場した。181cm。
松本真也(まつもと・しんや)=警視庁
 1984年7月16日、京都府生まれ、26歳。網野町教室出身。京都・網野高〜日大卒。京都・網野中時代に3年連続(1997〜99年)で全国大会優勝。網野高では2000〜02年に全国高校選抜大会2度、インターハイと国体を各3度勝ち、タイトルを総なめにした。高校8冠王は史上初。2000・01年はアジア・カデット選手権でも勝った。
 日大1年の2003年に全日本大学選手権で勝ち、翌年は学生二冠王(全日本学生選手権、全日本大学選手権)へ。2006年に全日本選抜選手権で優勝し、世界選手権に出場して10位。その後、日本一、日本代表から遠ざかっていたが、2009年に全日本選抜選手権で勝ち、3年ぶりに世界選手権に出場。2010年はアジア選手権で3位入賞。171cm。

 

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