【特集】名勝負数え歌! ライバル対決に勝つのはどちらか(5)
男子フリースタイル60kg級 小田裕之(国士舘大) − 前田翔吾(ニューギン)


【2010年12月12日】



 近年、日本で最も激戦階級と言われてきた男子フリースタイル60kg級。昨年と今年の世界選手権は、ともに学生選手が出場した。2012年ロンドン五輪へ向けてベテランが逆襲し、両者の闘いに割って入る可能性は十分にあるが、若手選手の台頭は日本レスリング界にとって頼もしい限り。争ったのは小田裕之(国士大=左写真)と前田翔吾(ニューギン=右写真)。元号が平成になる少し前に生まれた2人だ。

 両者は小田が高校1年の時のインターハイで顔を合わせ、この時は1年上の前田が全国中学生選手権3連覇の肩書きを持つ小田を下している。しかし翌春の全国高校選抜大会準決勝での再戦は小田が勝ち、その勢いで進学後の全国大会で初優勝。2年後、小田が国士大1年、前田が日体大2年の時は、小田が3連勝するまでに実力を伸ばした。

 前田も大学3年生の頃から実力を伸ばし、2009年世界選手権5位、今年アジア選手権2位へ。小田も先月のアジア大会で2位となり、ともに世界で通じる実力を身につけた。お互いに世界での実績を持った状態で闘うのは、今回が初めて。これまで以上のハイレベルの激戦が予想される。(男子フリースタイル60kg級は12月23日)




2010年の世界選手権とアジア大会の日本代表をかけてプレーオフで闘う両者。全日本選抜選手権を勝ち抜いた前田(青)に、小田を破るだけの体力と気力は残っていなかった。(撮影=矢吹建夫)
 =両者の対戦成績=

 《2010年》
【5月:全日本選抜選手権PO】 小田裕之(国士舘大)○[2−0(3-0,2-1)]●前田翔吾(ニューギン)
 《2009年》
【6月:全日本選抜選手権】 前田翔吾(日体大)○[2−0(2-0=2:03,5-4)]●小田裕之(国士舘大)
 《2007年》
【12月:全日本選手権】    小田裕之(国士大)○[2−1(3-0,0-1=2:28,3-0=2:03)]●前田翔吾(日体大)
【8月:全日本学生選手権】  小田裕之(国士大)○[2−1]●前田翔吾(日体大)
【6月:東日本学生春季新人戦】 小田裕之(国士大)○[判定]●前田翔吾(日体大)
 《2005年》
【3月:高校選抜大会】 小田裕之(青森・光星学院)○[10−2]●前田翔吾(愛知・星城)
 《2004年》
【8月:インターハイ】 前田翔吾(愛知・星城)○[5−3]●小田裕之(青森・光星学院)

小田裕之(おだ・ひろゆき)=国士舘大
 1988年6月8日、三重県生まれ、22歳。青森・光星学院高卒。三重・一志ジュニアでレスリングを始め、2003年に男子で史上3人目の全国中学生選手権3連覇を達成。高校時代の2005年に55kg級で全国高校選抜大会とインターハイ王者へ、2006年に60kg級で国体王者へ。
 国士舘大に進み、2007年の全日本大学選手権で2位。2008年のJOC杯ジュニアオリンピックは66kg級で優勝。同年の全日本選抜選手権では、2回戦で五輪出場資格を取った直後の湯元健一を破る殊勲を挙げて2位に入った。2009年に学生二冠王者となり、全日本選手権でも優勝。2010年にプレーオフの末に世界選手権代表へ。世界選手権は結果を出せなかったが、アジア大会で銀メダル。162cm。
前田翔吾(まえだ・しょうご)=ニューギン
 1987年5月23日、愛知県生まれ、23歳。刈谷チビッコ教室出身。愛知・星城高〜日体大卒。高校時代には中京女大に通い吉田沙保里とも練習。高校3年の2005年に、JOC杯ジュニア選手権55kg級で大学生に混じった中で2位となり、アジア・ジュニア選手権で3位入賞。同年の国体で優勝。
 日体大へ進み、2008年の全日本学生選手権60kg級で3位となり、同年の国体2位を経て、全日本大学選手権で優勝。全日本選手権でも初優勝。2009年アジア選手権5位を経て、世界選手権でも5位入賞。2010年は全日本選抜選手権で優勝したものの、プレーオフで敗れ世界選手権代表を逃す。しかしアジア選手権で銀メダル。170cm。

 

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