【特集】名勝負数え歌! ライバル対決に勝つのはどちらか(7)完
男子グレコローマン66kg級 藤村義(自衛隊) − 清水博之(自衛隊)


【2010年12月17日】



 アジア大会の男子グレコローマン66kg級で藤村義(自衛隊=左写真)が銅メダルを獲得。今年3月のゴールデンGP予選「ハンガリー・グランプリ」に続く栄光を手にし、第一人者の地位を確立したかに思えるが、それに「待った」をかけようとするのが、昨年の全日本王者の清水博之(自衛隊=右写真)。今年5月の全日本選抜選手権では、本戦、プレーオフともに敗れてしまったため、対戦成績は藤村が4勝2敗とリード。しかし藤村にとって、北京五輪のあった2008年以降で黒星を2度も喫している清水の存在は、大きな脅威となっているはずだ。

 ともに無名の存在からはい上がった選手だが、清水は滋賀・日野高校時代に2回しか全国大会に出場したことがなく、ベスト8が最高という成績で自衛隊に進んだのに対し、藤村は徳山大時代に全日本大学グレコローマン選手権2位の成績などをもって自衛隊へ。入隊以前の実績では清水より上。2008年までこの階級を“独占”していた飯室雅規(自衛隊)の後継者候補に成長した。

 清水が追いついたのが2006年度の全日本選手権。藤村との対戦はなかったが、藤村の3位を上回る2位へ躍進。高校時代に全国大会無冠の存在から、21歳にして全日本2位に駆け上った急成長は特筆もの。2012年ロンドン五輪への出発となる2008年全日本選抜選手権の準決勝で、初対戦となった藤村を破る殊勲を挙げて優勝。この段階で藤村を追い抜いた。

 その後、藤村が巻き返し、昨年の世界選手権に出場。今年の直接対決と各種大会での成績を見る限り、藤村が頭ひとつ抜け出した感があるが、大きな差はないはず。清水の逆襲なるか、藤村が先輩の意地を見せるか。自衛隊選手同士の闘いは、2012年夏まで続きそうだ。(男子グレコローマン66kg級は12月23日)




手の内を知っている同門対決は、いつも息詰まる攻防となる。今年は藤村(青)がハンガリーGP優勝、アジア大会3位で、清水(赤)もサンキスト・オープンで優勝。世界トップレベル同士の今年最後の対戦結果は?(2010年世界選手権代表決定プレーオフ、撮影=矢吹建夫)   《VTR》

 =両者の対戦成績=

 《2010年》
【5月:世界選手権代表決定プレーオフ】藤村義(自衛隊)○[2−0(1-0,2-0)]●清水博之(自衛隊)
【5月:全日本選抜選手権】      藤村義(自衛隊)○[2−0(3-0,4-0)]●清水博之(自衛隊)

 《2009年》
【12月:全日本選手権】  清水博之(自衛隊)○[2−0(1-0,2-0)]●藤村義(自衛隊)
【3月:ハンガリーカップ】藤村義(自衛隊)○[フォール、2P1:57(1-2,F5-0)]●清水博之(自衛隊)

 《2008年》
【12月:全日本選手権】  藤村義(自衛隊)○[フォール、1P1:26(4-0)]●清水博之(自衛隊)
【6月:全日本選抜選手権】清水博之(自衛隊)○[2−0(1L-1,1L-1)]●藤村義(自衛隊)

藤村義(ふじむら・つとむ)=自衛隊
  1982年3月28日、山口県生まれ、28歳。山口・田布施農高〜徳山大卒。高校時代は全国大会無冠だったが、徳山大で西日本学生選手権2度優勝。ほかに2003年全日本大学グレコローマン選手権で2位。
 自衛隊に進み、2005年ユニバーシアード代表、06年アジア選手権代表と実力をつける。2007年のNYACホリデー・オープンで優勝し、2008年北京五輪予選出場の機会も得たが、手が届かなかった。
 2008年全日本選手権で初優勝を達成。2009年世界選手権は8位に入賞した。2010年世界選手権は初戦敗退だったが、アジア大会で銅メダル獲得。174cm。
清水博之(しみず・ひろゆき)=自衛隊
 1985年12月18日、滋賀県生まれ、25歳。滋賀・日野高卒。高校時代は全国大会での上位入賞はなし。自衛隊に進み、2005・06年全日本社会人選手権3位、2006年国体3位など実力をつけ、2006年度の全日本選手権で2位に躍進。2007年冬の欧州遠征にも抜てきされ、同年アジア選手権代表へ。
 2008年は全日本選抜選手権で優勝し、全日本選手権2位。2009年全日本選抜選手権は3位と、日本一や日本代表にあと一歩と迫る。同年の全日本選手権で世界8位の藤村を倒して初優勝。しかし、2010年は世界選手権代表を逃した175cm。

 

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