【特集】注目選手の声
【2010年12月22日】


(文=渋谷淳、三次敏之、撮影=矢吹建夫)



 ■男子フリースタイル55kg級・稲葉泰弘(警視庁)(準決勝で松永共広に敗れ、涙で言葉を詰まらせながら…)「自分からポイントを取りにいったけど返されてしまった。こういうのをなくさないと勝つことはできない。(減量や大会が続いていたのが敗因?)それは関係ない。コンディションは良かったと思う。取ってからの処理が自分の課題。まだまだそこに隙があるということ。オリンピックに向けた闘いは今年から始まっている」



 
■男子フリースタイル55kg級・松永共広(ALSOK)(決勝で湯元進一に敗れて)「今日は1試合目から足を触られることが多く、動きが悪かった。十分に練習はできたし、コンディションは良かったのだけど…。進一には日本人選手にない外国人選手のような力がある。決勝は力負け。技を全然切れなかったので。悔しいけど、いまの実力は認識しないといけない。若い選手が上がっていているのも実感している。これからはロンドン五輪を目指してがんばっていくだけ。全日本選抜大会で優勝してプレーオフにも勝ちたいです」



 
■女子59kg級・正田絢子(京都・網野高教)(準決勝で齋藤貴子に敗れて)「世界選手権でひと区切りがついた感じで、今大会は出るつもりはなかったけど、周囲の期待もあったので出場しました。(教員という仕事との両立があり)追い込んだ練習ができず、体力の部分で若手と差があったと思う。負けて悔しいけど、若手が育っているのはうれしいことだと思っています。今までずっと突っ走ってきたのでいまは少し休みたい気持ち。ただ、『できる時にやっておかないと後悔する』と周りの人から言われているし、無理にやめる必要もないと思っている。いろいろと考えていきたい」



 
■女子59kg級・島田佳代子(自衛隊)(決勝で同門の齋藤貴子に敗れて)「1回戦から徐々に動けるようになっていったけど、緊張感もあって決勝では負けてしまいました。相手は自衛隊の先輩。何をすべきか分かっていたのに、それができなかった。今年1年は大会数をこなせたし、出場した大会では優勝や2位の成績を残せた。いい経験ができたと思う。来年は世界選手権を目標に努力していきたいと思います」



 
■男子フリースタイル55kg級・高橋侑希(三重・いなべ総合学園高)(初戦で守田泰弘に1−2で敗れる)「昨年の天皇杯では1回戦で湯元進一先輩に負け、今年も1回戦負けしてしまって悔しいです。第1ピリオドは、なんとか自分のレスリングができたのですが、第2、第3ピリオドは相手に合わせるレスリングをしてしまったというか、まったく自分のレスリングができませんでした。シニアの選手の方々は組み手がうまいですね。藤波(俊一)監督からは『組み手とスタミナ練習を』課題にさせられているのですが、もっともっと練習を積んで、ロンドンオリンピックもリオのオリンピックも狙っているので、頑張りたいと思います」



 
■拓大・須藤元気監督(拓大の岡太一が優勝)「気持ちの切り替えができたことも一因に挙げられると思います。学生ならではの不安定さというか、メンタル面で弱い部分があって、たまに(チームの)足を引っ張るような存在でもあった彼が、4年生になって切り替わることができたんです。西口部長からはいつも怒鳴られているような存在が、変わったんです。自分が変わることによって、試合の勝敗も良い方に表われるようになっていった。試合前は『ベストを尽くせ。ベストを尽くせば悔いは残らない。負ければ相手が強かっただけのこと。とにかく思い切って行け』というようなアドバイスを送りました。格闘技は理屈じゃないですね。自分が監督に就任(2008年11月)してから、見てきた選手なので実感がありますね。天皇杯というのは、学生にとっては社会人という壁があるわけですが、五輪というキーワードが彼の頭にも浮かんできたと思います。20代前半でロンドン五輪に出場して、2016年のリオデジャネイロ五輪にも出場してほしい」

 

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