全日本男子チームが世界選手権後初の合宿スタート【2010年10月9日】


 アジア大会(11月21〜26日、中国・広州)の代表選手を中心とした男子の全日本チームは10月8日、東京・味の素トレーニングセンターで世界選手権後初の合宿をスタート(右写真)。世界大学選手権(10月26〜30日、イタリア・トリノ)に出場する選手も加わり、熱気ある練習が展開された。

 佐藤満強化委員長(専大教)は練習前に世界選手権の結果と内容を振り返り、選手に対して「世界は甘くない。世界一の実力はあっても、世界一になれないこともある。みんなが1位になる気持ちを忘れないでほしい。自分自身もコーチも反省材料はある。来年の世界選手権へ向けて、最高レベルにまで上げてほしい。アジア大会の代表は、当面はアジア大会で勝つことを目標に頑張ってほしい」と話した。

 練習後は「もっと、ぶっ倒れるくらいにまで攻めてほしい。取りにいって取られてしまうことがあってもいい。失敗を繰り返しながら、取られなくなる」とアドバイス。日本の2人の科学者がノーベル賞を取ったことを例に挙げ、「夢を求め、何度も失敗した末の栄光。レスリングも同じ。取りにいって失敗してもいい。その失敗の繰り返しの中から、取られない力がついてくる。とにかく攻めるように」と注文した。

 伊藤広道強化副委員長(自衛隊)は「世界選手権では、過去1度も世界3位に入っておらず、『この選手が世界チャンピオン?』という階級もあった。だれもがチャンスがある。しかし、やらなければ勝てない。自分の持っている力を試合で出せるよう努力してほしいが、力を大きくすることも大事」と話した。

 今回の合宿からは、日体大の対外活動停止処分解除により、重量級担当の松本慎吾コーチ(同大学監督)が約1年ぶりに全日本チームの練習に復帰した
(右写真)。「約1年ぶり。やっぱり、うれしい。世界を目指す選手の実力アップをサポートしたい」と復帰の感想を話した。

 松本コーチがいなかった間、小平清貴コーチ(警視庁)の踏ん張りもあり、今年のアジア選手権のフリースタイル84・96kg級とグレコローマン84kg級でメダルを獲得し、世界選手権でもグレコローマン96kg級の北村克哉(ドン・キホーテ)が北京五輪銀メダリストに勝ちに等しい試合をするなど、明らかな底上げがあった。

 「小平コーチが一生懸命にやってきた成果だと思う。少しでも協力し、重量級のレベルアップに尽力し、もっと上を目指させたい」と話した。佐藤強化委員長も「チームに元気を与えてくれるコーチが戻ってきた。自衛隊から鈴木豊、飯室雅規も来てくれる。若いコーチの頑張りでチームを盛り上げてほしい」と期待した。

 合宿は17日まで行われる。

 

inserted by FC2 system