世界V7の坂本日登美(自衛隊)が結婚!「ますます頑張る理由ができた」と精進誓う
2010年10月23日】


 9月の世界選手権(モスクワ)の女子48kg級で優勝し、51kg級も含めて7度目の世界女王になった坂本日登美(自衛隊=左写真)が10月10日に入籍をしたことを、10月22日、全日本女子チーム合宿の公開練習で発表した。

 2度の引退を経て、3度目の正直で臨む2012年ロンドン五輪は夫婦二人三脚で挑戦する−。坂本は「10月10日に入籍しました」と報告。その日は、1964年に東京五輪が開幕した日であり、坂本にとって入籍日にふさわしい日だった。

 お相手は、今年まで自衛隊体育学校レスリング班に所属し、2008年には全日本社会人選手権フリースタイル74kg級優勝、全日本選手権同級3位などの実績がある小原康司さん
(右写真=2008年全日本選手権で3位入賞時)。2人は同じ青森県出身。ともに八戸工大一高でレスリングに親しみ、坂本が小原さんの1年先輩として高校生活を送った間柄だ。

 小原さんは昨年11月の全国社会人オープン選手権で優勝してMVPを獲得。有終の美を飾りマットを降りた。今年4月から一般自衛官に配属され、現役復帰した坂本を支えてきた。

 実家も近所で、幼ななじみ。坂本にとって一番の理解者が結婚への決め手となった。だが、今の坂本には「ロンドン五輪で金メダル」という目標がある。結婚のタイミングに迷った時期もあったようだ。「『坂本日登美』で金メダルを取りたいという気持ちがありました」と話すように、名前にこだわりがあった。

 日本では、旧姓やワークネームで出場することができ、報道の表記もそれに倣える。だが、海外試合のリザルト(成績)や呼び出しだけは、パスポート名「小原日登美」になってしまうだろう。それでも、坂本は「選手としてマットにあがるときはこれからも、『坂本日登美』です。この名前で金メダルを取ります」とキッパリ宣言した。

 無事に入籍を済ませた坂本は「今では、坂本家と小原家をしょっているんだという気持ちになりました。より頑張る理由ができました」と今後の精進を誓った。

■レスリングを続けるきっかけをつくってくれた“恩人”

 ロンドン五輪に夫婦として臨むなら、今が絶好のタイミングだった。五輪まであと2年弱と時間もある。「彼は私を引っ張ってくれる。レスリングのことに関しても一生懸命になってくれる。レスリングには厳しくて、いつもダメだしばかり(笑)。でも、それだけ真剣になってくれる」と小原さんの一面を語った。

 小原さんは、今の坂本にとって幼ななじみ、そして長年の友人に加えて、“恩人”でもある。2001年の国際レスリング連盟の世界ベストレスラーに選出されたにもかかわらず、自らの階級が実施されないために2004年アテネ五輪出場の夢に破れ、青森の実家に戻った時のこと。青森では当然、世界レベルの練習環境はなく、坂本は途方にくれていた。

 「自衛隊に来れば、レスリングをまたやれるよ」と復帰の道を提案してくれたのが小原さんだった。「それまでは八戸でなんとか練習する方法を考えていたけれど、彼の話が復帰へのひとつのきっかけになりました」と言う


 入籍もつかの間、来月には初のアジア大会を控える。世界のレベルが年々高くなってきていることは、9月の世界選手権で身をもって知らされた。「さらに負けられなくなりました」と坂本。幸せオーラ全開に11月の広州でアジアの頂点を目指す。

(取材=増渕由気子)




 なお、日本の女子選手で、既婚で全日本チャンピオンになったのは、1996年の坂本涼子(57kg級)と1999年の山本美憂(46kg級)の2人。世界選手権へ出場したのも、1996年の坂本と1998年の山本の2人だけ。坂本が銅メダル。山本が銀メダルを取った。坂本は12月の全日本選手権で日本女子3人目の既婚選手での優勝を狙い、来年は日本女子初の既婚選手による世界チャンピオンを目指す。

 

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