長谷川恒平(福一漁業)がH・スーリヤン(イラン)撃破などで優勝…アジア大会第1日
【2010年11月22日】



 アジア競技大会レスリング競技は11月21日、中国・広州の華工体育館で開幕。男子グレコローマン3階級が行われ、55kg級の長谷川恒平(福一漁業)が世界選手権5連覇中のハミド・スーリヤン(イラン)撃破を含めて4試合を勝ち抜き、初日にして日本チームに金メダルをもたらした。60kg級の松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)と66kg級の藤村義(自衛隊)は、ともに3位決定戦に勝って銅メダルを獲得(右写真=左から松本、長谷川、藤村)

 長谷川の金メダル獲得で、アジア大会の男子グレコローマンは2002年大会の松本慎吾(84kg級)、2006年大会の笹本睦(60kg級)に続き3大会連続で金メダルを獲得。グレコローマンの最軽量級としてはアジア大会初の金メダルとなった。長谷川個人では、2009年アジア選手権、同年ゴールデンGP決勝大会に続くビッグタイトルを手にした。

 長谷川は1回戦でカザフスタン選手、2回戦でタイ選手に勝ち、準決勝では今年の世界1・2位決戦を制して勝ち上がってきた世界王者のスーリヤンと対戦。第1・2ピリオドをそれぞれグラウンドの攻撃で取りあった両者は、第3ピリオドもスタンド戦は0−0。グラウンド攻防の選択権はスーリヤンにあり、攻撃を選択。長谷川はスーリアンのガッツレンチを30秒間耐え抜き、2−1(1-0,0-2,1-0)で勝って殊勲の白星を挙げた。決勝は、今年のアジア選手権3位のカニベク・ゾルチュベコフ(キルギス)と対戦し、落ち着いた試合運びで第2ピリオドにフォール勝ちした

 世界選手権銀メダリストの60kg級の松本は、1回戦で今年のワールドカップ王者のオミド・ノルージ(イラン)に0−2で敗れる不覚。ノルージが決勝へ進んだことで敗者復活戦へ回ることになり、地元の中国選手に勝って3位決定戦へ。銅メダルをかけた今年のアジア選手権3位のサンジャルベク・ジャマシェフ(ウズベキスタン)との闘いは、第1ピリオドを取られながらも2−1で逆転勝ちした。

 66kg級の藤村は1回戦で地元中国の選手を破り、2回戦で今年のアジア・チャンピオンの金R雨(韓国)を2−0で勝ったが、準決勝で昨年のアジア選手権優勝のダーカン・バヤクメトフ(カザフスタン)に0−2で敗れた。3位決定戦は今年世界ジュニア選手権2位のベシキ・サルダーゼ(ウズベキスタン)と対戦し、2−1で勝って銅メダルを獲得した。

 各試合結果は下記の通り。



 ◎男子グレコローマン

 
【55kg級】長谷川恒平(福一漁業)      優勝=15選手出場

■1回戦 ○[2−0(1-0,2-0)]Marat Karishalov(カザフスタン)
 
《試合経過》第1・2ピリオドともスタンド戦は0−0。長谷川は防御となった第1ピリオド、しっかり守い抜いて1点。このピリオドを取った。攻撃となった第2ピリオドは、ガッツレンチを決め、2−0として勝った。

■2回戦 ○[2−0(TF6-0=1:04,TF6-0=1:05)]Kritsada Kongsrichai(タイ)
 
《試合経過》第1ピリオド、長谷川は15秒に一本背負いで3点を先制。1分すぎにも胴タックルを決め、さばおりのようにしてマットに落として6−0でテクニカルフォールい。第2ピリオドも25秒にカウンターで一本背負いを決め、1分すぎに再度一本背負いを決めて6−0で快勝した。

■準決勝 ○[2−1(1-0,0-2,1-0)]Hamid Soryan(イラン)
 
《試合経過》第1〜3ピリオドともスタンド戦は0−0で終了。第1ピリオドは長谷川が攻撃し、ガッツレンチを決めて1−0。第2ピリオドは長谷川が守り、スーリアンのガッツレンチの仕掛けを3度こらえたが、最後に体が回転してしまい0−2。

 第3ピリオドのグラウンド戦は、スーリアンが攻撃を選択。長谷川は必死にガッツレンチを守り切り、世界5連覇中の選手を破った。

■決勝 ○[フォール、2P1:26(2-0,F7-0)]Kanybek Zholchubekov(キルギス)
 《試合経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。グラウンドの防御となった長谷川は、立ち上がり、危ない体勢になりながらも自らの体を相手に預けてニアフォールを奪って2点をゲット。2−0でこのピリオドを先制。第2ピリオドの16秒、相手の突進をカウンターで返してニアフォールへ。ガッツレンチで3−0とした。1分すぎに一本背負いで3点を取り、けさ固めで押さえ込み、そのままフォールした。



 
【60kg級】松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)      3位=12選手出場

■1回戦 ●[0−2(TF0-6=1:51,0-2)]Omid Noroodzi(イラン)
 
《試合経過》第1ピリオドの1分20秒すぎ、松本は一本背負いを受けた。ぎりぎりのところでこらえたように見えたが、判定は1点。日本陣営はチャレンジしたが覆らず、相手に1点が入って0−2。グラウンドの防御となった松本は、ホイッスルと同時に巻いたように見えたが、相手の横崩しに2点が入る。さらにガッツレンチで回され、0−6とされた。第2ピリオドはスタンド戦が0−0で終わり、松本の防御でグラウンド戦をスタート。ガッツレンチをこらえたが、終了3秒前に体が回転してしまい、0−2で敗れた。

■敗者復活戦 ○[2−1(TF0-6=0:51、1L-1,3-0)]Xie Zhan(中国)
 《試合経過》第1ピリオド、松本は序盤にバックを奪われ、リフト技のような感じで後方に倒され、押さえ込まれて3+1失点。さらにガッツレンチを受けて0−6とされた。第2ピリオドも24秒に一本背負いをこらえた後に場外に出されて1失点。しかしスタンド戦の終了間際に場外へ押し出して1−1へ。グラウンドの攻撃でポイントは取れなかったものの、1−1のラストポイントで勝った。

 第3ピリオド、松本は27秒に押し出して1点。相手の技を返してニアフォールの体勢に持ち込んで2点を加え、3−0として勝負を決めた。

■3位決定戦 ○[2−1(0-3,3-2,2-0)]Sanjarbek Jumashev(ウズベキスタン)
 《試合経過》第1ピリオド、1分すぎに投げ技を受けて1点を失った松本。横捨て身で反撃を試みたが、これも失敗し0−3。グラウンドの防御で立ち上がって反撃を試みたが、0−3のまま。第2ピリオド開始早々、松本は相手を外へ出して1点。42秒にも押し出して1点を追加。さらに突進したが、かわされて外へ出てしまい1失点。さらに一本背負いを受けたが、ぎりぎりこらえて1失点に押さえ、すぐにバックを取り返して3−2。グラウンドの攻撃でポイントは取れなかったが、ピリオドスコアを1−1とした。

 第3ピリオド、松本は25秒に相手を押し出して1点。38秒にも場外へ出して2−0。このポイントを守り切って勝利を手にした。



 
【66kg級】藤村義(自衛隊)         3位=12選手出場

■1回戦 ○[2−0(2-0,4-0)]Pan Zheng(中国)
 
《試合経過》第1ピリオドのスタンド戦は0−0。グラウンドの防御となった藤村は、リフト技で体が宙に浮いてしまったが、そこからこらえ、体を相手に預けてニアフォールを奪って2点をゲット。2−0でこのピリオドを取った。第2ピリオド、45秒に藤村が四つ組から腰投げ気味に投げて3点を取り、5秒以上押さえて1点を追加。4−0としてこのピリオドも取った。

■2回戦 ○[2−0(2-1,2-0)]Kim Hyeonwoo(金R雨=韓国)
 
《試合経過》第1・2ピリオドともスタンド戦は0−0。藤村は防御となった第1ピリオド、持ち上げられて立ち上がったところ、そり投げのように投げられて1失点。もう一度投げられるかと思われたが、今度は体を預けて相手をニアフォールに追い込み、2−1と逆転。攻撃となった第2ピリオドは、ラスト1秒にガッツレンチを決め、2−0で勝った。

■準決勝 ●[0−2(0-1,0-3)]Darkhan Bayakhmetov(カザフスタン)
 
《試合経過》第1ピリオド、スタンド戦は0−0。グラウンドの攻撃となった藤村は、ラスト1秒にガッツレンチを仕掛け、2点が挙がった。しかし相手陣営からチャレンジがかかり、ビデオチェックの結果、体が返っていないと判断され2点は無効。30秒を守り切られたことになって0−1とされた。第2ピリオドは1分、組まれて投げられて3失点。反撃及ばす、0−3とされた。

■3位決定戦 ○[2−1(0-2,3-0,1-0)]Besiki Saladadze(ウズベキスタン)
 《試合経過》第1ピリオドのスタンド戦は0−0。グラウンドの防御となった藤村はガッツレンチを受けてしまい、0−2でこのピリオドを落とした。第2ピリオドは前半に浴びせ倒し気味に倒し、けさ固めを決めたが、場外に逃げられたフォールならず。しかし3−0でこのピリオドを取った。

 第3ピリオドはスタンド戦は0−0。グラウンドの選択権を持つ藤村は防御を選び、危ないシーンもあったが必死にこらえ、30秒を守り切って貴重な1点を獲得した。

 

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