【特集】右足首の負傷にもめげず銅メダル獲得…男子グレコローマン60kg級・松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)
【2010年11月22日】



(文=樋口郁夫、撮影=保高幸子)



 男子グレコローマン60kg級の松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)は初戦でワールドカップ王者のオミド・ノルージ(イラン)に黒星。しかし敗者復活戦と3位決定戦に勝ち、世界選手権の銀メダリストの意地を見せた。

 実は1週間ほど前に右足首を負傷し、力が入らない状態だった。ノルージから第1ピリオドに受けた一本背負いも、右脚の踏ん張りがきかずに巻き込まれてしまったもの。1点に押さえただけでも驚異的な粘りだったと言えよう。

 日本陣営は松本の体が返っていなかったとして「0ポイント」を主張。チャレンジ(ビデオチェック要求)したが、覆らなかった。松本自身もその判定には不満はない。一本背負いを受けて右足首に負担がかかったであろう松本を気遣い、回復の時間をとるためのチャレンジでもあったようだ。

■3位決定戦は自分の勝ちパターンをつくれた

 運よく敗者復活戦に回ることができたが、右足首に力が入らない状態であることは明らか。それでも3位決定戦を含めて、技をかけるというより押し出すなどに活路を見い出し、スタミナ戦に持ち込んでメダルを引き寄せた。万全のコンディションでないことを考えれば、賞賛すべき銅メダルだったと言えるだろう。

 しかし松本は「けがを口にしたら言い訳になる。これが現状の実力。アジアで銀メダル以上取れずに、世界でもっと上には行けるはずがない」と厳しく振り返った。けがをしてコンディションが悪い時でも、「悪いなりに闘うのが実力。オリンピックまでは、まだ時間がある。もっと実力をつけないとならない」と言う。

 メダル獲得とはいえ、「悔しい内容だった」と言うが、最後の試合(3位決定戦=
左写真)は自分の勝ちパターンを作れた試合だったという。「次につなげたい」と話し、けがをしている状態の中でも勝ち上がった今回の経験を将来に生かしたい気持ちを表した。

 

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