【特集】ケガで本来の力発揮できず…男子フリースタイル120s級・荒木田進謙(専大ク)【2010年11月26日】


(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)



 重量級のエースとして期待がかかった男子フリースタイル120kg級の荒木田進謙(専大ク)は、初戦で北京五輪代表の身長2メートルの巨漢選手、地元・中国の梁磊にストレートで敗退した(右写真)

 「アジア大会で自分の位置を確立させたい」。そう目標を掲げた荒木田だったが、気持ちがあっても体が思うように動かなかった。佐藤満強化委員長(専大教)が「10月の国体で右ひざのじん帯を痛めてしまったからね」と話すように、ケガによりコンディションが最悪だった。

 今年は国内予選でつまづき、世界選手権へ出場ならなかった。悔しい夏場を過ごしたため、「チームジャパン」の誇りを胸に、この大会にかける想いは人一倍。初戦でストレートで敗れた時、よほど悔しかったのだろう、敗者復活戦の有無が決まる前にも関わらずタオルをかぶって頭をかかえ、悔し涙にくれた。結局、梁磊が準決勝で姿を消したため、荒木田の敗者復活戦はなくなった。小平清貴コーチ(警視庁)も「組み手は負けていなかったんですが。もうすこし相手を落としてくれれば、すぐにばてるのに」と残念そうに話した。

 試合内容は、序盤こそ荒木田の真骨頂である、動き回るレスリングを展開したが、足が止まった中盤にツーオンワンから体勢を崩されてバックポイントを取られた。第2ピリオドは先制するも「右足の踏ん張りがきいてなかった」(佐藤強化委員長)と、終盤に失速して2失点。「ケガがなければ勝てた相手。ケガしちゃいけないよね。スパーリングも1週間前からしかできなかった」と、敗因を話した。

 ただ、収穫もあった。佐藤監督は「組み手はさまになってきた。上半身の体力も(合格点)。メダル取れる力はあります」と評価。荒木田にとって思い通りに行かなかった今シーズン。代表権をもらったアジア大会でもチャンスを生かすことはできなかった。再起をかけて12月の全日本選手権で真の復活を遂げられるか−。

 

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