吉田沙保里(ALSOK)が金、浜口京子(ジャパンビバレッジ)が銅…アジア大会最終日
【2010年11月27日】



 アジア競技大会最終日は11月26日、中国・広州の華工体育館で女子3階級が行われ、55kg級の吉田沙保里(ALSOL)が4試合を勝ち抜いて優勝した(右写真)。吉田は2002年釜山大会、2006年ドーハ大会に続いてのアジア大会3連覇。

 日本レスリング界でアジア大会3連覇を果たしたのは、1954年マニラ大会から62年ジャカルタ大会のフリースタイル・ウエルター級で優勝した兼子隆に続いて2人目。日本のあらゆる競技を通じて女子個人で3連覇を達成したのは、1958年東京大会から66年バンコク大会の水泳・女子100メートル背泳ぎで優勝した田中聡子以来2人目の快挙となる。

 72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)は銅メダルを獲得し、2002年の金、2006年の銀に続いてメダルを確保した。しかし63kg級の西牧未央(至学館大大学院)は2回戦で敗れ、敗者復活戦でも敗れて上位進出ならなかった

 吉田は1回戦から、モンゴル、ウズベキスタン、北朝鮮と、いずれも世界的には実績のない選手を相手にポイントをやることなく3連勝した。決勝は今年の世界選手権59kg級2位、地元の張蘭(中国)と対戦。落ち着いた試合運びで第1ピリオドを5−0で勝ち、第2ピリオドはやや慎重になったが1−0で取り、ピリオドスコア2−0で快勝。4試合を通じて失点0で優勝した。

 吉田は9月の世界選手権でも5試合を無失点で優勝しており、今年の2大大会をともに無失点で優勝した。2009年の世界選手権決勝から国内外16試合連続で無失点勝利を続けている。

 浜口は1回戦でキルギス選手にフォール勝ちしたものの、続く準決勝で今年の世界選手権7位の李丹(中国)の投げ技にかかってフォール負けした。3位決定戦は「美京(韓国)と闘い、引き落としやタックルがさえて2−0で快勝した
(左写真=浅草応援団をバックに喜びを表す浜口)

 西牧は1回戦でカンボジア選手に勝ったものの、2回戦で今年の世界選手権7位のナサンブルマー・オチルバト(モンゴル)にフォール負けした。敗者復活戦では2007年アジア選手権67kg級優勝の陳萌(中国)に開始早々、がぶり返しを受けてしまい、フォール負けした。

 各選手の成績は下記の通り。



 ◎女子

 
【55kg級】吉田沙保里(ALSOK)       優勝=11選手出場

■1回戦 ○[2−0(4-0,5-0)]Nomin Erdene Batbaatar(モンゴル) 
 
《試合経過》立ち上がり慎重だった吉田。38秒に正面タックルで1点を取った後、タックルやがぶりから回り込むなどしてポイントを重ね4−0へ。第2ピリオドは14秒に正面タックルを決め、ガッツレンチで3−0。中盤に1点、終盤に1点を取り、5−0として快勝。

■2回戦 ○[2−0(1-0、TF7-0=1:04)]Liliya Shakirova(ウズベキスタン) 
 
《試合経過》第1ピリオド、守る相手に攻めあぐんだ吉田だが、中盤、タックルへ。右脚を取って粘る相手のバックに回って1−。第2ピリオドは開始10秒に正面タックルで3点を取り、フォール狙い。逃げられたが5秒以上押さえて1点追加。45秒に相手のタックルをカウンターで返し、横へ回して2点を加えていテクニカルフォール。

■準決勝 ○[フォール、1P1:19(F3-0)]Pak Yon Hue(北朝鮮) 
 
《試合経過》第1ピリオドの中盤、吉田は回り込んで1点を先制。腕を取って返し、上四方固めのようにしてフォール勝ち。

■決勝 ○[2−0(5-0,1-0)]Zhang Lan(張蘭=中国)
 
《試合経過》第1ピリオド30秒、吉田は相手の右脚を取って場外に出し1点を先制。47秒にも同様に場外へ出した。中盤に左腕を取られたものの、切って右脚へタックルを仕掛け、ニアフォールを奪って2点を追加。終了間際にも右脚を取ってテークダウンを決めて5−0とした。第2ピリオドはやや慎重になり、ポイントが取れなかったが、中盤にもつれたあと小手投げでテークダウンを奪い、貴重な1点をゲット。そのままのスコアで振り切った。



 【63kg級】西牧未央(至学館大大学院)       7位=11選手出場

■1回戦 ○[2−0(3-0,5-0)]Sothavy Try(カンボジア) 
 
《試合経過》第1ピリオド、相手のがぶりをくぐった西牧が1点を先制。1分10秒、1分54秒にも回りこんで1点ずつ取り3−0へ。第2ピリオドは30秒に回り込み、1分40秒にも同様にポイントを取って2−0。終了間際、相手の飛び込みタックルを回り込み、転がして1+2点を追加。5−0とした・

■2回戦 ●[フォール、1P1:35(F0-4)]Nasanburmaa Ochirbat(モンゴル)
 
《試合経過》第1ピリオドの40秒、西牧はバックを取られ、腕を取られてニアフォールに追い込まれる。必死にこらえたが、力尽きてフォール負け。

■敗者復活戦 ●[フォール、1P0:19(F0-4)]Chen Meng(陳萌=中国)
 
《試合経過》第1ピリオド開始早々、西牧がタックルにいったが、がっちりとがぶられ、後方へがぶり返し。そのままフォールされてしまった。



 【72kg級】浜口京子(ジャパンビバレッジ)       3位=8選手出場

■1回戦 ○[フォール、1P0:42(F7-0)]Iana Panova(キルギス)
 
《試合経過》第1ピリオド、浜口は回り込んで13秒で1点。足首を持って横に転がして2点を追加。相手のタックルをかわしてバックを取り、腕を取ってフォール狙い。そのまま押さえこんだ。

■準決勝 ●[フォール、1P1:53(F1-4)]Li Dan(李丹=中国) 
 
《試合経過》第1ピリオド30秒、浜口が相手のタックルをかわしてバックを取り1点を先制。しかし1分ころ、相手に足をかけられて背中からマットに落ち、押さえこまれる。必死に耐え、右肩は上がっているようにみえたが、あと7秒という段階でレフェリーは非情にもマットをたたいた。

■3位決定戦 ○[フォール、1P1:40(4-0、F6-0)]Bae Mi-Kyung(「美京=韓国) 
 
《試合経過》浜口は開始早々から相手を動かし、回り込んで15秒で1点を先制。中盤にも崩して1点、相手のタックルをかわして1点を加え、終了間際にも1点を加えて4−0とした。第2ピリオドも開始早々に引き落として1点を取った浜口は、タックルをかわして1点。中盤に引き落として3−0へ。その後、正面タックルで一気にニアフォールへ追い込み、フォールを決めて実力の違いを見せた。

 

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