【特集】屈辱のメダル逸! 試合後には練習する姿があった…女子63kg級・西牧未央(至学館大大学院)
【2010年11月27日】



(文=樋口郁夫、撮影=保高幸子)



 過去の実績と将来の期待で日本代表に選ばれた女子63kg級の西牧未央(至学館大大学院)は、2回戦でナサンブルマー・オチルバト(モンゴル)にフォールで黒星を喫し、敗者復活戦でも陳萌(中国)にフォール負け。ともに一発の技でマットに転がされ、そのままフォールされるという屈辱。あまりにあっけなく負けたため、「体に故障があったのでは?」とささやかれたほど。

 3位決定戦にすら進めなかった西牧は、試合後はがっくりとうなだれ報道陣の前を無言で通り過ぎた。栄和人・女子強化委員長(至学館大大学院)は故障説をきっぱり否定。「国内大会で負け、教育実習でブランクがあって練習についてこられない状況から、気力も体力も戻してくれたと思っていた。つまずいたあとのメンタル面の問題だ。女子強化委員長として恥ずかしい」と厳しく言った。

■立ち上がれるか、世界の頂点を極めたエリート

 大会前の全日本合宿でも、「大丈夫かな?」と思う面はあったという。しかし「試合になると強い選手だから」と、期待の方が大きかった。しかし、この結果を見せられてしまっては、それは希望でしかなかった。西牧の起用を責められても返す言葉はあるまい。

 「今までつちかってきたものが、すべて無駄になった。今の状態では、世界…、世界選手権という意味ではなく、あらゆる国際大会に派遣することはできない」と、厳しい言葉がどこまでも続く。

 72kg級の試合が終わったあと、日本チームは福田富昭会長の命令で、他国選手のいなくなったウォーミングアップ場で練習が始まった。そこには西牧の姿もあり、コーチのアドバイスを聞きながら汗を流した。栄委員長は「今後どうするか、自分で考えてほしい。もう一度、世界一を目指す気持ちになってほしいが…」と期待するが、その表情は「その気持ちにならないのなら、もういい」とでも言いたげだった。

 

inserted by FC2 system