【特集】「ロンドン五輪にチャレンジしたい!」ー。銅メダルで気持ち固めた…女子72kg級・浜口京子(ジャパンビバレッジ)【2010年11月27日】


(文・増渕由紀子、撮影=保高幸子)




 アジア大会日本代表のしんがりを務めたのは、女子72s級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)。準決勝で敗れはしたが、3位決定戦で快勝して銅メダルを獲得した(右写真)

 初戦はキルギス選手にフォールで快勝。勢いに乗るかと思われたが、2回戦で世界選手権7位の李丹(中国)に、前半は軽快な動きを見せた。しかし、足が止まった瞬間に足をかけられ、倒されて3失点。そのまま押さえ込まれてフォール負けしてしまった。

 だが、韓国選手との3位決定戦は、浜口得意の落としなどを効果的に使って何度も相手バックを奪い、最後は自ら正面タックルを決めてフォール。銅メダルを獲得するとともに3大会連続のメダルを獲得した。

 そんな、軽快な動きを導き出したのは準決勝の敗退だった。浜口は「中国の選手に負けた時、自分から悔しいという気持ちが出てきたので、まだまだ(勝負に対する)気持ちが残っているんだなと感じました」と、客観的に自己分析。ただでさえ、2ヶ月前には世界選手権に出場し、最高のコンディションを作ることに苦労した。「大きな大会が続いて、ここまで気持ちを持っていくるのは大変だった」と話した。その中での銅メダルに大きな価値を見出した。

■「甘えが出るから」と、現地では父と距離をとった

 短いスパンで連続してメダルを取れたことで、浜口の気持ちは固まった。試合後は、「ロンドン五輪にチャレンジしたいという気持ちになった」ときっぱり宣言。「アジア大会で決意しました。(今までは)気持ちが固まっていなかったけど、ここでメダルを取ることができたので、まだレスリングをやりたいと思いました」と、2012年ロンドン五輪まで現役続行を表明した。

 今大会は、現地・中国に入って父・平吾さんと距離をとった。理由は甘えが出てしまうから。「自分は崖っぷちにいた方が頑張れるから」と、自らの環境を厳し追い込んで臨んだ。 参加選手数は他階級より少ないものの、確実にレベルが上がってきている72s級。ライバルの中には、ひと回りも若い選手がいることも、浜口は十分に分かっている。

 それでも、総合大会の銅メダルを胸に、2年後の五輪を見据えた。父の平吾さんも観客席からおなじみの勝利の儀式「気合ダァー」と、愛娘に闘魂注入。浜口親子の五輪3度目の道のりが始まった。

 

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