2011年全日本チーム記事一覧


【特集】二冠を制し、吉田沙保里へ再挑戦!…女子55kg級・村田夏南子(JOCアカデミー)
【2011年4月25日】


(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)



 JOC杯ジュニアオリンピックの女子ジュニア59kgは村田夏南子(JOCアカデミー/東京・安部学院高)が優勝(右写真)。今月初めのジュニアクイーンズカップ55kgに続いて今季国内戦で2勝目をマークした。

 昨年のこの大会は、59kg級で2009年アジア選手権優勝の伊藤友莉香(環太平洋大)を破って優勝。その後、ユース五輪予選で優勝し(国別出場枠の関係で五輪には出場できず)、世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得。宮原優とともにアカデミーの二枚看板として活躍してきた。今年も幸先いいスタートを切った。

■この1年でタックルや組み手を吸収

 中学までは柔道にいそしみ、アカデミー入校時にレスリングに転向してきた。そのため、当面は非五輪階級の59kgで世界を目指し、レスリング経験値を高めてから2016年リオデジャネイロ五輪に向けて仕上げていくかと思われたが、村田の気持ちは「ロンドンから」だった。

 昨年12月の全日本選手権から五輪階級の55kgに階級変更。「減量はけっこうあります(笑)」という試練を乗り越え、1、2回戦を勝ち抜いて不動の五輪女王・吉田沙保里(ALSOK)に準決勝で堂々と対峙した。結果はストレートで敗れたものの、果敢に両足タックルで挑む姿勢を見せ、試合内容を高く評価された。試合後、村田は「ロンドン五輪に出たい」と宣言した。

 昨年までは柔道あがりの投げ技を中心とした闘いだったが、この1年でタックルや組み手を覚えた。ジュニアクイーンズカップの決勝では、前年王者の浜田千穂(日体大)を相手に遠間からのレスリングを積極的に展開。片足タックル、差しなどを織り交ぜた多彩な攻撃で、キッズあがりで経験豊富な浜田に対して優位に試合をすすめた。

■今週末の全日本選抜選手権は「絶対に優勝します」−

 アカデミーの吉村祥子コーチは「夏南子はキッズあがりではない。私も、大人になってからレスリングを始めた方なので」と話し、村田に合わせた指導ができるのも強み。村田が急激に力をつけている秘密であり、村田も「吉村コーチは本当に頼りになっている」と全幅の信頼を置いている。
(左写真=JOC杯で闘う村田)

 課題は「タックルに入れるが、テークダウンまで持っていけないことが多いこと」。浜田戦も終始攻め続けたが、肝心のポイントがなかなか決められなかった。今大会も大量得点はできていない。試合の組み立てはクリアしている現在、得点につなげる能力が今後必要になりそうだ。

 レスリング転向わずか2年で早くも頭角を現している村田が狙うロンドン五輪の予選は、今週末の全日本選抜選手権(東京・代々木競技場第2体育館=女子55kg級は4月30日)。「絶対に優勝します」−。ジュニアクイーンズ女王、そしてJOC女王の肩書を持って、全日本選抜選手権で2度目の吉田との対決を期し、「勝って優勝したいです」と目を輝かせた。

 

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