2011年明治杯全日本選抜選手権記事一覧


【特集】明治杯全日本選抜選手権・男子フリースタイル84kg級・松本真也(警視庁)
【2011年5月6日】


(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)



 明治杯全日本選抜選手権の男子フリースタイル84kg級は、昨年世界選手権(ロシア)&アジア大会(中国)の代表を逃した松本真也(警視庁=右写真)が制して、世界選手権で3度目の正直を誓った。松本はエリート街道を歩んできた。京都・網野高時代には、高校レスリング界で史上初となる高校8冠王(全国高校選抜大会2、インターハイ3、国体3)を獲得し、日大へ進学すると、1年生の時に96s級で学生王者に就いた。

 2005年12月にはビッグタイトルである全日本王者に輝き、翌春の全日本選抜選手権も制して世界選手権(中国)に初出場し、10位に入る活躍をみせた。そんな松本はそのまま政権を築くかと思われたが、2007〜08年は王座を明け渡してしまった。当然、2008年北京五輪への出場もかなわなかった。

 心機一転を図った2009年は全日本選抜選手権を制して世界選手権(デンマーク)出場を果たすことに成功。ところが、この世界選手権では初戦敗退という屈辱を味わった。2010年は世界選手権代表の座を松本篤史(ALSOK)に奪われてしまった。

■ロンドン五輪で新婚旅行を実現する!

 エリート街道を歩んできた男は屈辱を味わうことで成長を遂げる。昨年の全日本選手権では、王座を“預けていた”松本篤史を下して全日本王者に返り咲き。フリースタイル84sに松本真也あり! を実力でアピールした

 今大会は、初戦から「自分らしくない戦いが続いてしまった」と、初戦と鈴木聖二(専修大学コーチ)、準決勝の山口剛(早学)の2試合に関しては決して満足いく内容ではなかった。それでも今年の松本は違う。2月11日に美映さんと結婚し、この日も美映さんが会場に駆けつけていたこともあり、勝利への原動力がいつも以上にあった。

 組み合わせを見て、「決勝には門間順輝(秋田市消防本部)か松本篤史が上がってくるとは思っていた」そうだが、決勝に上がってきたの門間。2回戦で激戦のうえ松本篤に勝利し、準決勝でも昨年の全本選手権3位の浅見哲郎(東京・東亜学園高教)に勝った。大学を卒業後、地元へ戻って練習環境は厳しくなったが、昨年の国体を制した実力者で、あなどれない相手だ。

 しかし、門間との一戦は開始早々のタックルからの押さえ込みが決まり、わずか13秒のフォール勝ちで決着
(左写真)。世界選手権代表の座を獲得した。生涯の伴侶を射止め、今年の世界選手権で3度目の正直を目指す松本の視野は、ロンドン五輪へも向けられている。「まだ新婚旅行に行っていないものですから、ロンドン五輪も代表になって新婚旅行にします」−。

エリート街道を歩んだあと、社会人となって挫折を味わった松本は、夢を現実へと変えさせようとしている。

 

inserted by FC2 system