2011年全日本チーム記事一覧


北村克哉選手がドーピング違反で2年間の出場停止処分へ
【2011年6月14日】



 日本協会は6月13日、東京・岸記念体育会館内で記者会見し、日本アンチードーピング機構(JADA)から、男子グレコローマン96kg級の北村克哉選手(ドン・キホーテ)が、4月の全日本選抜選手権で優勝した際のドーピング検査で陽性を示したとの通知を受けたことを発表した。JADAの規定では、同大会の順位がはく奪され、陽性が確定した今年5月17日から2年間、資格停止処分となる。日本協会もこの決定に従う予定で、今月25日の理事会にて決定する。

 また、国際アンチ・ドーピング機構(WADA)から国際レスリング連盟(FILA)へも報告がいく予定で、FILAからも同様の処分が下されるものと思われる。

 検査はJADAの規定に従って行われ、4月29日の試合当日に採取した尿(A検体)から、筋肉増強作用があって2011年の禁止薬物であるドロスタノロンの代謝物が検出された。B検体(当日に分離して別に保存していた尿)によって再検査したが、A検体の分析と同じ結果が出た。6月に聴聞会が行われ、北村選手は検査結果について争うことはなく、インターネットによる海外通販を含めて多種多様なサプリメントを大量に服用していたことを認めた。どのサプリメントに禁止薬物があったかなので特定はできないものの、その中の成分に含まれていた可能性が高い。JADAは「意図的な服用ではないと推定される」としている。

 会見に出席した高田裕司専務理事は「私たちの指導力不足によって、日本スポーツ界にご迷惑をおかけし、申し訳ない」と謝罪。再発防止に徹するとし、今月後半に予定されている全日本合宿(男子は18日から、女子は22日から、いずれも東京・味の素トレーニングセンター)では、男女合同でドーピングに関する講義を開き、さらなる注意を呼びかける。サプリメントに服用に関しては、必ずドクターのチェックを受けて許可されたものだけにするよう徹底させたいとしている。

 報道陣からは「意図的な(筋肉増強剤の)服用でない証拠はあるのか」との質問が出たが、高田専務理事は「出場停止になることを自らやる選手はいない」と北村をかばい、来年のロンドン五輪出場が絶望となった同選手に対して、「プロに行くにしろ、普通の社会人になるにせよ、2年後にレスリングに戻るにせよ、今後の人生を頑張ってほしい」とエールをおくった。

 この処分により、全日本選抜選手権の同級は2位だった森保弘選手(三重・朝明高教)が繰り上げで優勝となる見込み。また、世界選手権の代表は、強化委員会との話し合いになるが、高田専務理事は昨年の全日本選手権2位の有薗拓真選手(山梨学院大)、全日本選抜選手権2位の森選手、5月のアジア選手権に出場して5位に入賞した山本雄資選手(警視庁)の間で、7月の合宿中にも決めたい意向を示した。ともに25日の日本協会理事会で正式に決定される。

 北村選手は昨年の全日本選手権に続いて全日本選抜選手権を制しながら、世界選手権の代表決定が保留となっていたが、負傷で練習できていないことが理由で、今回の件とは無関係。

 

inserted by FC2 system