2011年全日本チーム記事一覧


全日本チームがアンチドーピング講座を受ける
【2011年6月25日】



 東京・味の素トレーニングセンターで合宿中の男女の全日本チームは6月24日、同所で増島篤・日本スポーツ医科学委員長(国際レスリング連盟メディカル&アンチドーピング委員=東芝病院)と中島耕平・同副委員長(国立スポーツ科学センター)を講師としてアンチドーピングの講義を受けた(右写真)

 日本代表級の選手にドーピング違反者が出たため、男女が同時に合宿する今回、あえて実施した。日本協会の高田裕司専務理は「次にこのようなことがあったら、協会の責任。二度とこのようなことを起こさないために実施した」と説明。協会をあげての防止策であることを強調した。

 増島委員長は「これまでもドーピング違反に対する注意はしていたが、注意の喚起が足りなかったかもしれない」と反省の言葉を述べ、「防止を徹底させたい」と話した。

 講義は合宿中の約100人の選手・コーチが出席。増島委員長が北村克哉選手のドーピング違反となった経緯を説明した。北村選手は過去8回のドーピング検査では1度も陽性が出ておらず、摂取したサプリメントなどを隠すことなく提出。海外からの通信販売で購入したサプリメントのみならず、付属していた試供品も服用していたことも正直に話したという。意図的な摂取ではなく、それらの中に禁止薬物が含まれていた可能性が高いと推察されるとしたが、医師の処方なしに多くのサプリメントを摂取したことは過失であり、処分はやむをえない事情を説明した。

 中島副委員長はアンチドーピングの理念を説明し、ドーピングがいけない理由として「選手の健康を害する」「アンフェアである」「社会に悪影響を与える」「スポーツの意義喪失」を挙げた。処分の対象となる事例を説明し、検査方法や禁止リストなどを示したほか、注意すべき市販薬・滋養強壮薬を紹介した。

 また、国際レスリング連盟(FILA)が現在処分している28選手の違反者の摂取が認められた薬物、海外のサプリメントで禁止薬物を含むサプリメントやその割合を説明。オランダでは25.8%に陽性を示す物質が含まれている事実を報告した。

 講義の最後には、全選手から現在服用しているサプリメントのリストを提出させ、増島委員長は「心配のある場合は相談にのります」と話した。

 吉田沙保里選手(ALSOK)は「薬は注意しなければならないと思っていたけど、サプリメントへの意識はあまりなかった。勉強になりました」と参考になったもよう。「私たち(世界のトップ選手)と違い、若い選手はドーピングへの意識は高くなかったと思う。いい講座だったと思います」と、効果を話した
(左写真=講義を聴く吉田選手)

 なお、違反となった北村選手は協会宛に謝罪文を提出。出場停止が解ける2年後にはレスリング界へ戻ってきたい希望を伝えたという。

 

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