【特集】無念の初戦黒星! レスリング挑戦の総合格闘家、泉浩(プレシオス)【2011年7月3日】
(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)
柔道の世界王者にして総合格闘家の泉浩(プレシオス)が全日本社会人選手権のフリースタイル96kg級に挑戦。初戦の2回戦で社会人2年目の金光正浩(西日本設備管理=拓大OB)に0−2の判定で敗れ、12月の全日本選手権の出場資格獲得はお預けとなった。(右写真=金光のタックルを返す泉だが…)
第1ピリオドは序盤に片脚タックルで場外へ出されて1点を失い、追いつくことができなかった。第2ピリオドは片足タックルを仕掛けられ、柔道の巴投げのような感じで返してタックル返し成功かと思えたが、判定は相手の3点のみ。そのあと、場外へ押し出して1点を返したものの、再び片脚を取られ、持ち上げられて3失点となるテークダウンを奪われた。1−6の5点差だが、3点技2度によるテクニカルフォールで敗れた。
「攻撃の練習をもっとやる必要を感じた」と敗戦後の第一声。相手のタックルをつぶして攻撃するのが自分のパターンだったというが、その作戦が全く通じず、「闘い方がすべて読まれていた。それにどう対処するかが今後の課題」と話した。練習で何度も試した足払いは、「使う時がなかった」と言う。また、「試合場が大きいと感じた」とも。マットの大きさを言っているものと思われるが、練習とは違う感覚を実感したようだ。
■11月の全国社会人オープン選手権で再挑戦
第2ピリオドのタックル返しは、自分のポイントと判定されてもおかしくないような微妙な攻防だったが、セコンドからチャレンジ(ビデオチェック要求)は出されなかった。「そのルールは知っていたのか?」と問われると、「チャレンジうんぬんの問題ではない、もっとでかい大会なら…」と話し、チャレンジどうこう以前に、もっと勉強すべき点があったことを強調した。
しかし、実戦を通じて練習では得ることのできない課題も見つかった。「1試合しかしなかったけど、手ごたえは感じ、今後が少なからず見えてきた」と話し、初戦敗退ではあったが、挑戦しただけの収穫は間違いなくあった。(左写真=片足タックルを受け、場外へ出てしまった泉)
来年のロンドン五輪へつながる全日本選手権への出場は、まだ11月の全国社会人オープン選手権が残されている。過去の例でいくと、この大会は優勝選手のみに全日本選手権の出場資格が与えられ、厳しい関門となるが、「レスリングの練習は自分の(格闘家としての)糧になると思う」として出場の意思を固めている。
泉のレスリング挑戦、ロンドン五輪への挑戦は終わらない−。