2011年全日本チーム記事一覧


【特集】復活V! 待ちに待った世界ジュニア・デビューへ…男子フリースタイル55kg級・森下史崇(日体大)
【2011年4月27日】


(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)



 待ちに待った世界への扉が開いた! JOC杯ジュニアオリンピックの男子ジュニア55s級で森下史崇(日体大)が、同階級で2年ぶり2度目の優勝を達成。大会MVPでもあるJOC杯にも選ばれた(右写真=左から2人目が森下)。2年前はインターハイを優先し世界ジュニア選手権は辞退しており、今夏、2年越しの夢となった世界ジュニア選手権デビューを飾る。

 森下は2009年、茨城・霞ヶ浦高の選手として団体・個人ともに全国で活躍。高校の年間MVPに輝いた。高校生最後の試合となった同年の全日本選手権では、前年王者の湯元進一(自衛隊)を破る金星。最高の1年を送った。

だが、昨年は進学した日体大が対外活動停止中のため、JOC杯や全日本学生選手権は不出場。9月の千葉国体で復帰し3位となると、11月の東日本学生新人戦で優勝と早くも頭角を現した。12月の全日本選手権では、初戦で全日本学生王者の半田守(専大)をストレートで破り、同世代で事実上のトップは自分だとアピールできた。今年は、本格的に各大会でタイトルを狙っていく。

■3度目の森下史崇−高橋侑希の結果は―。

 悲願の世界ジュニアがかかった大会のヤマ場は、準決勝の高橋侑希(三重・いなべ総合高)戦。高橋は昨年、ユース五輪で金メダルを獲得し、2年生にして高校三冠王を達成した選手で、年下の選手とはいえ一番の対抗馬。2009年のインターハイでは高橋に不覚を喫し、表彰台にも上がれなかった。直接対決は1勝1敗の五分。

 試合は6面マット同時進行で行われていたが、会場の雰囲気全体が森下−高橋に注がれているような異様な雰囲気で試合が始まった。森下は2、3回戦と変わらず、ドンと構えて高橋の様子をうかがう。高橋はこの日、初めて足を止めて森下としっかりと組み合った。第1ピリオド、手数が多いのは高橋。森下は冷静にブロックして、負けじとテークダウンを決めかけるがノーポイント。クリンチは高橋が優先権を得て持ち上げてテークダウンを決めた。

 第2ピリオドも後半まで得点なし。クリンチまでもつれるわけには行かないと言わんばかりに、森下がラスト5秒で意地の両足タックルを決めて勝負は第3ピリオドへ
(左写真=第2ピリオド、勝負をかけた森下)。だが、第3ピリオドもクリンチになり、今度は青の森下が優先権を得て勝負を決めた。

■ジュニア、シニア問わず活躍を

 2度のクリンチを含めた2−1での勝利。テクニカルポイントだけを見れば、森下が1−0とやはり紙一重の勝負になった。高校生で一番大切な試合(インターハイ)で黒星を喫した相手だけに、森下は「ちょっと苦手というか、意識します」と素直にライバル関係を認めた。

 事実上の決勝戦を制した森下は、決勝では金城希龍(国士舘大)に難なくフォール勝ちして優勝を決めた。今年は試合が立て続けに待っている。世界ジュニア選手権出場を決めて安堵の表情を見せた森下だが、すぐさま、JOC杯より大切な試合である、ロンドン五輪予選を兼ねた明治杯全日本選抜選手権(4月29〜30日、東京・代々木競技場第2体育館=同級は29日)へ気持ちを切り替えた。

 

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