2011年明治杯全日本選抜選手権記事一覧


【特集】明治杯全日本選抜選手権・女子72kg級・浜口京子(ジャパンビバレッジH)
【2011年5月4日】


(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)



 世界選手権(9月12〜18日、トルコ・イスタンブール)の日本代表選考を兼ねた明治杯全日本選抜選手権。女子72kg級日本代表を確定づける決勝戦での勝利が決まった瞬間、浜口京子(ジャパンビバレッジホールディングス)は思わずマットに片ヒザをついてガッツポーズ!(左写真)

 快挙といっても異論はないだろう。今回の代表決定で、浜口はなんと15度目の世界選手権出場となるからだ。過去14回の出場で3連覇を含む五度の優勝経験がある浜口。2004年アテネ&2008年北京の両五輪(ともに銅メダル獲得)を合わせれば、17度目の世界の檜舞台である。

■大震災の下、レスリングができることに感謝

 そんな快挙であるが、試合後の浜口は「回数とか覚えていないんです」と、快挙とも思っていないかのような口ぶり。だが、うれしさは隠せないようで、優勝直後には「(東日本大震災で)悲しい思いをしている方がいる中で、レスリングの試合ができていることに感謝しています。(世界選手権代表に選ばれたことに)信じられないし、今は世界選手権とロンドン五輪に向かって頑張っていることを光栄に思う」と語った。
(右写真=いつも通り浅草の大応援団が会場に駆けつけた)

 1997年〜99年に世界選手権3連覇を果たした浜口は、翌2000年は3位に終わった。帰国後、浜口は父・アニマル浜口氏に「人生ってむなしいね、お父さん」とこぼしていた。アニマル氏は、世界選手権で優勝できなかった娘に気分転換をさせようと、自分の講演先である北海道の稚内に連れて行った先での話だ。

 稚内で早朝に親子でランニングをしている途中で娘・京子は父にこぼしたのだが、岸壁にいる親子に真っ赤な太陽光が射してきたそうだ。「こんなシチュエーション、世界は広いけれども、我々しか味わえない光景だ。燃えろ、京子!」と娘を激励した。それからの娘は、父の前で弱気の発言は、ほとんどしなくなったという。

■レスリングの神様は、ロンドン五輪にもついて来てくれる!

 北京五輪が終わり、競技生活に終止符を打つことも頭をよぎったが、「レスリングが好きで好きでしょうがない」という浜口は、ロンドン五輪に照準を絞って、2009年の夏にポーランドでマットに復帰し、同年末の全日本選手権から完全復活すると、再び国内の連勝記録を伸ばし始めた。
 
 今大会では、初戦となる準決勝で阿部梨乃(東京・安部学院高)に一本背負いで投げられ、一時は1−3でリードされる危ないシーンもあったが、冷静に試合を進めて逆転。判定で下すと、決勝戦で鈴木博恵(クリナップ)と対峙した。

 鈴木との対戦はこれが5度目。闘い方を研究されているのか、徐々に差を縮められてきているのも確かだ。この日も第1ピリオド、第2ピリオドともに0−0で延長にもつれ込む展開となったが、ボールピックアップは2度とも赤の浜口が優先権をとり、2度ともテークダウンを決めて接戦を制した。
 
 「どっぷり浸かりたい」というほど浜口はレスリングを愛している。そんなレスリングの神様はロンドン五輪まで彼女を見守っていてくれるに違いない。



 ◎浜口京子の世界選手権・五輪成績
(1995・96年は70kg級、97〜2001年は75kg級、以降は72kg級)

 
【1995年世界女子選手権】13位
1 回 戦 ●[2−9]Sandra Bacher(米国)=
右写真
敗復2回戦 ●[0-4=4:30]Nina Englich(ドイツ)

 
【1996年世界女子選手権】7位
1 回 戦 ●[フォール、 2-5]Nordhagen-Vierling, Christine(カナダ)
敗復2回戦 ○[7−2]Monika Lebek(ポーランド)
敗復3回戦 ○[Tフォール、12-1] Lee, Yen-Hiu (台湾)
敗復4回戦 ●[2−3]Englich, Nina (ドイツ)

 【1997年世界女子選手権】優勝右写真
1 回 戦 ○[フォール、2:07=10-0]Barriga, Elvira(オーストリア)
2 回 戦 ○[フォール、0:40=4-0]Toleva, Elisaveta(ブルガリア)
3 回 戦 ○[フォール、3:37=8-2]Liu, Dong Feng(劉東風=中国)
決   勝 ○[4−0]Stenglein-Marano, Kristie(米国)


 
【1998年世界女子選手権】優勝右写真
1 回 戦 ○[フォール、0:38=4-0]Lacher, Franziska(スイス)
2 回 戦 ○[フォール、3:59=6-0]Kurbangadshieva, Sumrud(ロシア)
3 回 戦 ○[フォール、1:29=4-0]Barriga, Elvira(オーストリア)
決   勝 ○[5−3]Stenglein-Marano, Kristie(米国)

 
【1999年世界女子選手権】優勝
予選1回戦   BYE
予選2回戦  ○[フォール、1:49=4-0] Komarnicka, Tatyana(ウクライナ)
予選3回戦  ○[8−1]Karlsson, Helene(スウェーデン)
決勝T1回戦 ○[5−3]Nordhagen-Vierling, Christine(カナダ)=
右写真
決    勝 ○[フォール、5:18=6-1]Marano, Kristie=旧姓Stenglein(米国)

 
【2000年世界女子選手権】3位
予選1回戦 ○[フォール、4:22=9-0]Komarnicka, Tatyana(ウクライナ)
予選2回戦  BYE
予選3回戦 ○[5−1]Kurbangadshieva, Sumrud(ロシア)
準 決 勝 ●[4−9]Nordhagen-Vierling, Christine(カナダ)=
右写真
3位決定戦 ○[フォール、1:40=4-0]Halova, Katerina(チェコ)

 
【2001年世界女子選手権】4位
予選1回戦 ○[フォール、4:50=7-3] Komarnicka, Tatyana (ウクライナ)
予選2回戦   BYE
予選3回戦 ○[フォール、2:28=7-0] Halova, Katerina(チェコ)
準 決 勝 ●[1−3] Witkowska, Edyta(ポーランド)
3位決定戦 ●[フォール、3:14=0-4] Englich, Nina(ドイツ)=
右写真

 
【2002年世界女子選手権】優勝
予選1回戦   BYE
予選2回戦  ○[フォール、4:07=9-0] Martinenko Svetlana(ロシア)
予選3回戦  ○[5−1] Unda Maider(スペイン)
決勝T1回戦 ○[Tフォール、2:30=10-0] Ivanova Galina (ブルガリア)
準 決 勝  ○[4−0] Witkowska Edyta(ポーランド)
決   勝  ○[5−1] Wang Xu(王旭=中国)=
右写真

 
【2003年世界選手権】優勝
予選1回戦  ○[3−0] Svitlana Sayenko(ウクライナ)
予選2回戦  ○[フォール、1:43=9-1] Sonika Kalirman(インド) 
予選3回戦   BYE
決勝T1回戦 ○[4−0] Edyta Witkowska(ポーランド)
準  決  勝 ○[4−2] Stanka Zlateva Hristova(ブルガリア)
決     勝 ○[4−1] Toccara Montgmery(米国)=
右写真

 
【2004年アテネ五輪】3位
予選1回戦 ○[8−4] Toccara Montgomery(米国)
予選2回戦 ○[Tフォール、5:17=10-0] Stanka Zlateva(ブルガリア)
予選3回戦  BYE
準 決 勝  ●[4−6] Wang Xu(王旭=中国)
3位決定戦  ○[4−0] Svitana Sayenko(ウクライナ)=
右写真

 
【2005年世界選手権】2位
1回戦  ○[2−0(2-0,2-0)] Rosangela Conseica(ブラジル)
2回戦  ○[フォール1P0:44(F0:44=3-0)] Olga Zhanibekova(カザフスタン)
3回戦  ○[2−0(TF9-0=1:08、1-0)] Wang Jiao(王嬌=中国)=
右写真
準決勝  ○[2−0(4-0,1-0)] Svitlana Saienko(ウクライナ)
決  勝 ●[1−2(1-3,@Last-1,0-1)] Iris Smith(米国)

 
【2006年世界選手権】2位
1回戦  ○[フォール、2P0:29(TF7-0=1:21,F3-0)] Burmaa Ochirbat(モンゴル)
2回戦  ○[フォール、1P1:46(F7-0)] Kristie Marano(米国)
3回戦  ○[フォール、1P1:35(F6-0)] Svetlana Sayenko(ウクライナ)
準決勝  ○[2−0(1-0,1-0=2:03)] Ohenewa Akuffo(カナダ)=
右写真
決  勝 ●[1−2(3-1,1-2,TF0-6=1:43)] Stanka Zlateva(ブルガリア)

 
【2007年世界選手権】9位
1回戦 ○[2−0(2-1,1-0)]Laure Ali Annabel(カメルーン)
2回戦 ●[0−2(0-3,1-3)]Stanka Zlateva(ブルガリア)=
右写真
敗復1 ○[2−0(5-0,TF6-0=1:34)]S. Bentorki(フランス)
敗復2 ●[フォール、2P0:45(2-0,F0-4)]Olga Zhanibekova(カザフスタン)

 
【2008年北京五輪】3位
1回戦  ○[2−1(1-0,0-1,2-0=2:00]Elena Perepelkina(ロシア)
2回戦  ○[フォール、2P1:19(1-0,4-0)]Rosangela Conceicao(ブラジル)
準決勝  ●[フォール、2P0:46(2-5、F3-0)]Wang Jiao(王嬌=中国)
三決戦  ○[2−0(3-0,3-1)]Ali Bernard(米国)=
右写真

 
【2008年世界女子選手権】3位
1回戦   BYE
2回戦  ○[フォール、2P1:26(0-1、F3-0)]Lee Stephany(米国)
3回戦  ○[2−0(1-0,2-1)]Shynkarova.N(ベラルーシ)
準決勝  ●[0−2(1-4,1-1L) Hong Yan(洪雁=中国)=
右写真
3決戦  ○[2−1(0-1,1-0,1-0)] Burmaa Ochirbat(モンゴル)

 
【2010年世界選手権】3位右写真
1回戦   BYE
2回戦  ○[2−1(1-1L,1-0=2:02,1-0)]Kateryna Burmistrova(ウクライナ)
3回戦  ○[2−0(4-3,1-0)]Burmaa Ochirbat(モンゴル)
準決勝  ●[1−2(3-0,0-3,0-1=2:02)]Ohenewa Akuffo(カナダ)
3決戦  ○[2−0(1L-1,1-0=2:03)]Maider Unda Gonzalez(スペイン)

 

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