競技2日目。昨夜は柔道のW金メダルを見て記者村へ戻ったのが1時ころ。遅い食事のあと、本コラムの記事などを書きながら、村内のコインランドリーへ。ところが、ここで大失態。乾燥機に4ドルを入れて表示が「60(分)」と変わったので、そのまま部屋に戻って原稿を執筆し、アップロードしてちょうど1時間。もうすっかり乾いているだろうと思って行ってみると、スタートボタンを押す必要があったのに、それを押していたなかったので、入れたままの状態になっている。

 ありゃりゃ〜。せっかく、もう寝れると思ったのに、また60分待たなければならない。レストランへ行ってビン・ビールを買い、翌日の準備をしながら待つ。乾燥は、量が少ないから40分で終わりにしたが、このため就寝が4時近くとなった。いつも、こんな時間になってしまう。

 この日は野球取材のため、いつもより朝が早かったので、1時間のロスは大きかった。もっとも、10時起床で「早い」とは言っていられないか。15、16日と違って空がすっきり晴れ渡っているので、行動しようという気持ちになるのは幸いだ。

 さて、野球の第1戦。予想通り松坂(写真右の左。左は米国のラソーダ監督)の先発で、緊迫した投手戦が続いた。延長にもつれ、両方の投手が変わったあとの13回にアメリカがサヨナラ勝ち。日本は初戦を落とした。しかし、8か国参加のリーグ戦で、上位4か国で準決勝、決勝とやるので、まだ優勝のチャンスはあるから、監督も松坂もさっぱりしたもの。1回でも負けたら金メダルに手が届かない競技に比べると、楽なんじゃないかな、と思った。きのうの柔道なんて、1秒の油断で負けになり、金メダルには絶対に手が届かないんだから、同じオリンピック種目で、こうした不公平はおかしいような気がした。

  その後、メーン・プレスセンターで休憩と原稿書きをし、夜は柔道会場へ向かう。前夜、田村亮子と野村忠宏の金メダル獲得で湧き返ったシドニー展示場ホール。この日は、田村以上に金メダルが固いと言われていた楢崎教子(写真左の最前列)が、決勝で微妙な判定ながらも敗れた。前評判が高かっただけに、会場は信じられないといったムードが充満した。

  だが記者というのは悲しい職業で、こうした時でも我を忘れてはならない。すぐに、意気消沈しているであろう楢崎を追い掛けることを始める。目に涙を浮かべながらも気丈に記者団に相対してくれた彼女に、容赦なく質問を浴びせる。それをきちんと受けてくれた彼女は本当に立派だと思うし、その行動に感謝したい。

 最近はプロ格闘技の選手を取材することが多いが、自分の気に入らない判定が下って審判をば倒したり、試合に負けると報道陣の前に出てこない輩がいるが、そんな人間に比べ、楢崎の強さを感じた。人間、苦しい時にどんな行動を取るかで、その人の価値が分かるのだと思う。

  それはさておき、この日の会場は前夜の“田村サポーター”がほとんど姿を消し、満員だった会場も空席が目立った。日の丸の旗は前夜の半分ほど。これは、ちょっぴり意外だった。 それだけ柔道ではなく、田村のファンが多いのだろうが、せっかくシドニーまで来て柔道を応援したのなら、田村の同僚も応援するのが礼儀であるような気がする。

 聞いた話だが、田村応援団はこの日から観光の日程だとか。まあ、個人で旅行費用を払って来たのだろうから、その行動を他人がとやかく言うことではないが、ちょっぴり寂しい気がした。まあ、こうしたナショナリズムの思想を持っていること自体、歳をとった証拠なのかな?(続く) 

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