【特集】2010年全日本選手権 熱戦写真集(6)…男子グレコローマン74kg級 田村和男−金久保武大
【2011年1月29日】





 【男子グレコローマン74kg級 決勝】
田村和男(赤=早大)○[2−0(1-0,1-0)]●金久保武大(マイ・スポーツ・ハウス)




 「伏兵の優勝」「勢いの優勝」−。そんな表現がぴったりくるのが、男子グレコローマン74kg級だった。同級は全日本学生選手権で2位が最高という田村和男(早大)が、2回戦でアジア大会銀メダルの鶴巻宰(自衛隊)を破る殊勲。準決勝でも全日本社会人84kg級王者の角功介(自衛隊)を破って決勝へ進出した。

 待ち構えていたのは、全日本選抜選手権2連覇で世界選手権5位の金久保武大(マイ・スポーツ・ハウス)。アジア大会銀メダリストを破って勢いをつけたとはいえ、世界の5本の指に入る選手相手には厳しいと思われた。しかし、第1ピリオドのグラウンドの攻撃で、相手の場外逃避で1点を獲得してこのピリオドを先取。

 スコアボードは一度、金久保に1点が掲示されており、それが変わったことによる落ち込みがあったのだろか、金久保は第2ピリオド、持ち味を発揮できず、田村が押し出して貴重な1点を獲得。1−0のスコアで世界5位の選手を振り切り、学生タイトルのない選手ながらも日本一に輝くという快挙を達成した。

 まぐれの優勝? 決して、そんなことはないだろう。1回戦から決勝までの4試合で、田村が失ったポイントは1点もない。現在のグレコローマンのルールでは、グラウンドの30秒間の攻撃で技が決まらないと相手に1点が入るため、強豪であっても、相手に1点をやってしまうことがよくある。スタンドの攻防で技を受けず、グラウンドの攻撃でしっかりポイントを取り、防御では守り切る−。この基本があったからこその優勝だ。

 勝負の世界は、過去の実績では決まらないことを感じさせてくれた田村の優勝だった。(撮影=矢吹建夫) 《VTR》






 

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